現在WINGS EDUCATION for Childrenのプログラムの特徴の一つとして、”英語で行う“ワークショップ等を開発・企画しています。ホームページにも書いたように、世界標準語である英語を“実際に使う”機会を通じて、グローバルコミュニケーションツールとしての英語を“もっと学びたい”という情熱(モチベーション)を持ってもらうことが狙いです。
では、ツールとしての英語をどう学び、磨きをかければ良いのか? 書店に行ったりネットで検索すると、それこそ星の数程多い英会話学校案内や英会話CD、英単語帳、受験英語の参考書・ハウツー本などが多数ありますが、人それぞれに合った学びの方法やスピードは千差万別で、これには正解は無いと思います。
その中で、いままでの経験上一つの確信があります。それは、興味を持ってはまり、没頭し、自分で体験し、楽しいと思いながら学ぶほうが断然効率もいいはずであり、学びのスピードも指数関数的に上がるということです。自らの体験を振り返ると、入社後出張に行ったアメリカのスーパーやファーストフード店で、簡単な英語さえ理解できないショックや驚きをばねに、英語のリスニングの習得に没頭したことがいまでも記憶の奥底に鮮明に残っています。
このような経験を積み、”自ら学ぶ” ことが理想であり、そのような刺激やモチベーションは、教室で教材を見ながら文法ばかり覚えたり、単語帳を一心不乱に覚えたりすることからは出てこないと思うようになりました。しかしながら、現実を振り返ると、子供たちは学校内外で楽しい事をたくさん経験している一方で、いざ高校・大学進学を目指す時期がくると、入試による選抜が待ち受けており、理想の学びとは対極にある 受験の為の詰め込み型、ときには苦痛に感じる英語勉強に多くの時間を割いているのではないでしょうか。
このような理想と現実とのギャップを考えている最中、知人の子供の大学受験の為の英語を教える機会が訪れることとなりました。このせっかくの機会を活用して、従来からある”詰め込み・苦痛型“の受験英語の学び方を工夫することにより、こどもたちが以下のような理想の学びを身に着ける手助けが出来たらいいなと思い始めました。(この理想の学びは、WINGS Education が目指すビジョンでもあります。)
- 楽しく学ぶ
- 自らの意思で学ぶ
- 好奇心を持って学ぶ
- 体験を通して学ぶ
- 社会とのつながりを学ぶ
- グローバルコミュニケーションスキルを学ぶ
結論から言うと、グローバルコミュニケーションの経験を実社会で積んだガイド役(コーチ・ファシリテーター)のサポートのもと、工夫次第では、合格するための英語力と共に、より理想に近い学び方を身に着ける(Learn how to learn)ことが出来ると信じております。
この試みを現在実践中で、この経験を通して得た知見をWINGS Educationの将来のプログラム開発とビジョン実現のために活用し、その影響の輪を広げようと考えています。(ちなみに日本の学校では”意義のある学び方” が習得できる英語教育の環境はいまだに整っていないと思うので、別の機会で ”あるべき理想の英語教育“をまとめたいと思います。)
では、どのようにすれば合格するための英語力 + 理想の学び方の習得 (Win-Win) を達成できるか?
- 合格のための英語力 = 自分にとっての Win = Win to myself
- 理想の学び方の習得 = 社会にとっての Win = グローバル市民として成長するスキルを学び、次世代に引き継いでいく
この Part 1では 、まず受験英語と受験産業の現状分析をまとめています。Part 2 では、現状分析に基づいて、Win-Win を達成する方法についてまとめる予定です。
<受験英語と受験産業の現状分析 - 大学受験の例>
- 30年ほど前に経験した、微かに記憶に残っている受験英語を思い出しながら、久しぶりに直近2-3年間のセンター試験、某有名私立大学の英語の入試問題や予備校で使われている英語の教材をみてみました。予想通り、いまだに ”正解はどれか?“ という設問が殆どを占めています。この”正解力“は、グローバルコミュニケーションツールとしての英語スキルの習得や、社会に出て”正解の無い“ 新しい物やサービスを生み出すために必要な ”探求力” の習得にはほとんど役に立ちません。理想と現実とのギャップを改めて痛感することとなりました。
- この”正解力アップ“の訓練のために、予備校などで行う英語の授業は例えば 1対100(講師一人、受験生100人)の、ほぼ一方通行の講義が日々行われています。ホームページにも書いたラーニングピラミッド(平均学習定着率)では、教室内での講義による学びの定着率は最低レベルで、経験上も正しいと思います。
- とは言いつつも、最近の大学の選抜方法も選択肢が増えてきており(一般入試、推薦入試、AO入試、面接入試など)、2020年の大学入試改革に伴い、英語の問題にも変化の兆しも見られます(リスニングや記述式など)。また英語の長文問題などは、政治、経済、歴史、時事問題などいろいろな分野に関する読み応えのある文章が出題されていて、それ自体を読み、理解し、考えることは非常に学びの要素が多く、将来のキャリアを選択することにも役に立つ豊富な内容や論点が書かれています。
Part 2 (Win-Win を達成するための工夫) に続く。。。